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IPOを目指すベンチャー企業では資金調達により事業を拡大していき、数度の資金調達を経て上場を達成するというケースが数多くあります。また、上場までに数度のストック・オプションを役員や従業員に付与することも同様に多くのケースがあります。
このような資金調達、ストック・オプションの付与の際は、自社の株式をいくらでどの程度の割合の株式を発行するのか検討し、自社の株式価値を算定することとなりますが、IPO準備においては株価の推移に留意が必要となります。
資金調達やストック・オプションなどのファイナンスは、発行体である会社、投資家、既存株主が納得できる形で実施することが重要であることはどのようなファイナンスでも変わりがありませんが、IPO準備においては、シード期から上場直前まで段階的にファイナンスが行われるため、各ファイナンスの前後、さらには上場時を含めた次のファイナンスの株価を見据えた株式価値で発行することができているか、株価推移をチェックすることが大切です。
成功しているケースでは、ステージが進むにつれて株式価値が増加していき、ファイナンスに参加した特定の関係者のみが有利とならないように株価が推移しています。留意が必要となるケースの例としては、ストック・オプションを付与する際に、前後のファイナンスを考慮して、自社の株式価値が適切な株式価値となっているかチェックが必要です。
事業計画を修正したこと等により、ストック・オプションの発行のために自社の株式価値を算定した結果、直前のファイナンス価格を下回る株式価値が算定される場合や、直後に資金調達や上場が控えている段階で資金調達時の見込み株式価値を下回る株式価値が算定される場合があります。このような場合、特定の役員や従業員のみに有利に発行したとみられるリスクがあります。これは資金調達の際も同様のことがおこる可能性があります。
そのため、ファイナンスの際の株式価値算定は、その時点のファイナンスのみを前提として株式価値算定を実施するのではなく、前後のファイナンス、さらには上場までの想定株式価値を考慮して株式価値算定を実施することが大切です。
ベンチャー企業では限りあるリソースを最大限活用してIPO準備を進めていくことになりますが、ファイナンスなど専門的な領域については、外部リソースを活用し、各ファイナンスの際には単なる株式価値算定を依頼するのではなく、IPO準備にも精通した外部評価機関を活用することも有効な方法となります。