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IPOに関するQ&A
Vol.
25
IPOにおける知的財産暩の管理に぀いお
みおぎ監査法人
代衚瀟員/公認䌚蚈士
暪手宏兞

はじめに

䞊堎審査䞊、重芁な知的財産暩を有しおいる䌁業にずっおは、知的財産暩の管理䜓制や暩利䟵害の有無などは重芁な審査項目ずなりたす。今回は、䞻に東京蚌刞取匕所グロヌス垂堎以䞋、グロヌス垂堎の䞊堎審査における知的財産暩管理の基本的なポむントに぀いおご説明いたしたす。

䞊堎審査䞊の取扱いに぀いお

 グロヌス垂堎での知的財産暩に関する審査項目は以䞋のずおりです参考新芏䞊堎ガむドブックグロヌス垂堎。

䌁業内容、リスク情報等の開瀺の適切性

 具䜓的には、「既に特定の補品を販売あるいは開発した技術に基づき事業を行っおいるものの、特蚱暩等を有しおいないために他瀟の新芏参入が予想される堎合、あるいは圓該補品をある䌚瀟ずのラむセンス契玄により販売しおいる堎合」には、特定の商品、サヌビスの将来性が䞍明確なものに぀いお、そのリスクをⅠの郚「事業等のリスク」ずしお蚘茉が必芁になりたす。

事業蚈画の合理性

  ここでは、事業展開に際しお、自瀟のビゞネスモデルの特城匷み、匱み等の確認が求められたす。したがっお、知的財産暩を利甚しお䞻芁な事業を展開しおいる堎合には、適切に事業蚈画に反映されおいるかどうかの確認が求められるものず考えられたす。

その他公益又は投資者保護の芳点

 経営掻動に重芁な圱響を䞎える可胜性のある係争又は蚎蚟の有無が確認されたす。蚎蚟の結果や蓋然性によっお、業瞟に重芁な圱響を䞎える可胜性がある堎合には、投資物件ずしお䞍適圓ず考えられ、䞊堎審査が延期になる可胜性がありたす。知的財産暩に぀いおは、提蚎されおいるケヌスはもちろんですが、暩利が䟵害されおおり、他瀟を蚎えおいるケヌスであっおも、圓該結果により事業の優䜍性が倱われるリスクがあるこずから、審査䞊も論点になる可胜性があるず考えたす。

知的財産暩の皮類に぀いお

 知的財産ずは、発明、考案、怍物の新品皮、意匠、著䜜物その他の人間の創造的掻動により生み出されるもの(発芋又は解明がされた自然の法則又は珟象であっお、産業䞊の利甚可胜性があるものを含む。)、商暙、商号その他事業掻動に甚いられる商品又は圹務を衚瀺するもの及び営業秘密その他の事業掻動に有甚な技術䞊又は営業䞊の情報をいいたす。たた、知的財産暩ずは、特蚱暩、実甚新案暩、育成者暩、意匠暩、著䜜暩、商暙暩その他の知的財産に関しお法什により定められた暩利又は法埋䞊保護される利益に係る暩利をいいたす知的財産基本法。簡単にいうず、知的財産は、ブランドや営業秘密等の無圢の財産であり、知的財産暩は、知的財産のうち、法埋で芏定され、保護される暩利のこずをいいたす。以䞋、知的財産暩に぀いお、説明したす。

 䞊蚘知的財産暩の内容は以䞋のずおりです。

  • 特蚱暩・・・特蚱法により特蚱を受けた発明を業ずしお排他的独占的に実斜できる暩利をいいたす。産業䞊の利甚可胜性、新芏性、進捗性、高床性などの特城を有したす。産業財産暩ですので、登録しなければ、暩利は発生したせん。保護期間は出願から20幎ずなりたす。
  • 実甚新案暩・・・自然法則を利甚した技術的思想の創䜜であっお、物品の圢状、構造又は組合せに係るもので、実甚新案法により保護される暩利をいいたす特蚱庁。物品の圢状に係るものなので、方法に係るものは察象ずはならず、特蚱暩ずは異なり、技術的思想の創䜜のうち、高床のものである必芁はありたせん。存続期間は出願から10幎ずなりたす。
  • 商暙暩・・・自己・自瀟が取り扱う商品やサヌビスを他人他瀟のものず区別するために䜿甚する商暙目印を独占できる暩利をいいたす。商暙暩は、商品・サヌビスのグルヌプごずに類䌌矀コヌドを付䞎しおいたすので、類䌌矀がこずなれば、同じ商暙であっおも認められるケヌスがありたす。産業財産暩ですので、登録しなければ、暩利は発生したせん。登録から10幎間有効で、曎新するこずで半氞久的に有効ずなりたす。
  • 意匠暩・・・「意匠」ずは、物品の圢状、暡様若しくは色圩又はこれらの結合であっお、芖芚を通じお矎感を起こさせるものをいい、物品の「郚分」のデザむンも「意匠」に含たれたす特蚱庁。「意匠」は、垂堎での競争力を高める䞀方、暡倣の察象にもなりやすいこずから、「意匠暩」ずしお保護を受けるためには、特蚱庁に登録出願を行い、意匠登録を受ける必芁がありたす。意匠暩の存続期間は出願の日から最長25幎ずなりたす。
  • 著䜜暩・・・「著䜜物」を創䜜した者「著䜜者」に䞎えられる、自分が創䜜した著䜜物を無断でコピヌされたり、むンタヌネットで利甚されない暩利をいいたす公益瀟団法人著䜜暩情報センタヌ。著䜜暩は、著䜜者が著䜜物を創䜜したずきに自動的に発生したすので、特蚱暩や商暙暩ず異なり、暩利を埗るためにどんな手続も必芁ずしたせん。なお、日本の著䜜暩法には登録制床があり、著䜜者の本名、著䜜物を最初に公衚した日、著䜜暩の所圚を文化庁に登録するこずにより、著䜜物に関する取匕の安党を確保できたす。

䌚蚈䞊・皎務䞊の凊理に぀いお

 知的財産暩は、無圢資産であり有圢固定資産ず比范するず、盞察的に実態を把握するこずが困難であるこずから、䌚蚈䞊・皎務䞊も慎重に凊理を怜蚎する必芁がありたす。

取埗䟡額に぀いお

 䞀般的に特蚱暩を自瀟で取埗する堎合、日本基準では、研究開発費は発生時の費甚ずしお凊理されるこずから研究開発費等に係る䌚蚈基準、発明等に芁した人件費等のコストは費甚ずしお蚈䞊され、登録費甚は、特蚱事務所等に察する手数料ず租皎公課にすぎず、資産蚈䞊しおいるケヌスは少ないようです。しかしながら、特蚱暩を有しおいるこずを明瀺するために、少額であっおも、資産蚈䞊しおいるケヌスも芋受けられたす。䞀方、他瀟から取埗した堎合には取埗䟡額付随費甚を資産蚈䞊するこずになりたす。で事業譲枡や子䌚瀟を買収した堎合には、取埗原䟡の配分PPAにより知的財産暩を認識するこずにより、倚額の特蚱暩を蚈䞊するケヌスもありたす。たた、囜際䌚蚈基準を採甚しおいる堎合には、芁件を満たした開発費は資産蚈䞊する必芁があるため、自瀟開発を行い特蚱を自瀟で取埗した堎合も倚額の特蚱暩が蚈䞊されるこずになりたす。
 特蚱暩以倖の知的財産暩著䜜暩、実甚新案暩、商暙暩、意匠暩に぀いおも、著䜜、商暙、意匠等を制䜜する際の人件費等は、通垞、発生時の費甚ずしお凊理されるため、自瀟で取埗する堎合には、資産蚈䞊するケヌスは少ないず考えられたす。たた、特蚱暩ず同様に、他瀟から取埗したり、PPAにより知的財産暩を認識したりするケヌスでは、資産蚈䞊が必芁ずなりたす。なお、著䜜暩に぀いお、貞借察照衚に蚈䞊しおいるケヌスは少ないですが䟋KIYOラヌニング、実態に合わせお、゜フトり゚アや営業暩に含める凊理も考えられたす。

耐甚幎数に぀いお

 皎務䞊の法定耐甚幎数は、それぞれ以䞋のずおりです。

 特蚱暩及び商暙暩に぀いおは、償华方法及び耐甚幎数を䌚蚈方針に泚蚘しおいるケヌスがあり、法定耐甚幎数に合わせお、特蚱暩は8幎及び商暙暩は10幎ずしおいるケヌスが倚いようです。しかしながら、特にプラむム垂堎の䞊堎䌁業では、M&A等により取埗䟡額が倚額になるケヌスもあり、実態に合わせお償华期間を最倧20幎間ずしおいるケヌスも芋受けられたす䟋TDK。䞀方、金額が少額でもあるこずから、3幎均等で償华を行っおいるケヌスもありたす䟋リプロセス。のれんの償华方法ず同様に、償华幎数に぀いおは、監査法人ず慎重に協議する必芁があるものず考えられたす。
商暙暩の償华方法を蚘茉しおいるケヌスは比范的少ないですが、蚘茉しおいる堎合は、ほずんどが10幎償华ずなっおいたす。たた、商暙ごずに〇幎〇幎ず幅をもたせお償华を行っおいるケヌスもありたす䟋日本スキヌ堎開発。
 それ以倖の知的財産暩著䜜暩、実甚新案暩、意匠暩に぀いおは、金額が少額なこずもあり、償华方法を蚘茉しおいるケヌスは少ないようです。

䞊堎審査における知的財産暩の保有に぀いお

 䞊堎申請䌚瀟が、他瀟の知的財産暩を独占的に利甚しお䞻芁な事業を行っおるケヌスでは、圓該知的財産暩に係る契玄が解陀された堎合、事業の継続が困難になるリスクがあり、原則ずしお、圓該知的財産暩を保有先から譲り受けるなどしお自瀟で保有するこずが求められるず考えられたす。同様に、䞊堎申請䌚瀟の代衚取締圹やその資産管理䌚瀟等が、知的財産暩を保有しおいるケヌスにおいおも、ロむダリティ等で利益の瀟倖流出が生じたり、盞続等が発生した堎合に暩利が䞍安定になるリスクがあったりするこずから、自瀟で保有するこずが求められるものず考えられたす。

 䞀方で、倧孊は公的性栌を有しおおり、その研究成果は瀟䌚ぞの還元が求められおいるこずから、倧孊発ベンチャヌ䌁業では倧孊から暩利を譲り受けるこずは困難であるず想定されたす。その堎合、䞊堎申請䌚瀟における知的財産暩の実斜の保護が䞊堎埌においおも適正に講じられおいるこずを、以䞋の芳点から合理的に説明するこずが求められたす。

  • 専甚実斜暩の付䞎を受け、䞊堎申請䌚瀟自身で暩利䟵害に察抗できる契玄になっおいるか
  • 倧孊偎が知的財産暩の管理を適正に行っおいるか
  • 契玄期間が、䞊堎埌も継続的に事業を行っおいくうえで適正な期間になっおいるか
  • 圓該知的財産暩の実斜に係る費甚が適切で、契玄䞊、明確になっおいるか
  • 倧孊偎から䞀方的に解陀もしくは䞍利益な条件に倉曎されない契玄ずなっおいるか

 たた、倧孊ずの知的財産暩に係る契玄に぀いおは、投資家の投資刀断に重芁な圱響を䞎える可胜性があるこずから、守秘矩務を解陀し、以䞋のような䞀定の事項を蚘茉するこずが求められたす。

【蚘茉䟋】

  • 契玄名
  • 契玄先
  • 契玄期間
  • 契玄内容実斜蚱諟の範囲等
  • 実斜料の支払条件

  - 契玄䞀時金
  - マむルストヌン・ペむメント
  - ランニングロむダリティ

  • 実斜暩の再蚱諟に䌎う収入配分に関わる条件
  • 契玄解陀の条件
  • 創薬系ベンチャヌにおいおは、開発䞭止の堎合の取扱いや臚床詊隓等に係る費甚負担等
  • その他、投資刀断に重芁な圱響を及がすず考えられる事項

参考新芏䞊堎ガむドブックグロヌス垂堎

芏皋の敎備に぀いお

 開発系やテクノロゞヌ系の䞊堎申請䌚瀟に぀いおは、知的財産暩に関する芏皋の敎備も重芁になっおきたす。ここでは、知的財産管理芏皋及び職務発明芏皋に぀いお、説明したす。

知的財産管理芏皋に぀いお

 知的財産暩が重芁な䌚瀟においおは、「知的財産管理芏皋」を敎備するこずが求められるケヌスがありたす。「知的財産管理芏皋」の䞻な内容は以䞋のずおりです。

・知的財産の定矩
 特蚱暩、実甚新案暩、意匠暩、商暙暩、その他営業秘密等
・所管
 所管郚眲及び統括責任者を定めたす䞀般的には所管は総務郚、責任者は総務郚長
・事業管理
 他瀟の暩利を䟵害しないようにする、もしくは自瀟の知的財産の流出を防ぐためのリスク管理を定めたす
・瀟員の責務、通報の矩務
 暩利䟵害やおそれのある情報を入手した際の察応
・調査及び調査の留意点
 迅速か぀正確に調査を行い、必芁がある堎合には専門家に䟝頌するこずを定めたす
・調査埌の察応
 暩利䟵害に圓たるずされた堎合に、䟵害元に察する察応販売䞭止、損害賠償等を定めたす。

 埌述の「知的財産暩の管理方法」でも蚘茉したすが、芏皋を敎備のうえ、埓業員ぞの呚知培底がより重芁になっおくるず考えたす。

職務発明芏皋に぀いお

 職務発明に関しおは、䟋えば以䞋のような事䟋もあり、知的財産暩が重芁な䌁業においおは芏皋の敎備を行い、将来的な蚎蚟リスクを䜎枛する必芁があるず考えたす。

  職務発明は、埓業者等がした発明であっお、その性質䞊䜿甚者等の業務範囲に属し、か぀、その発明をするに至った行為がその䜿甚者等における埓業者等の珟圚又は過去の職務に属する発明です特蚱法第35条。職務発明による特蚱を受ける暩利は、基本的には埓業員に垰属し、自動的に䌁業に属するものではありたせん。したがっお、䌁業が特蚱を出願するためには、埓業員から暩利を譲り受けなければなりたせん。たた、暩利を䌁業が承継する際には、「盞圓の利益」を埓業員に支払う必芁がありたす。「盞圓の利益」ずは、職務発明の特蚱を受ける暩利を譲枡する代償ずしお、埓業員等が受けられる経枈的利益をいいたす。䌁業は、「盞圓の利益」を支払い、職務発明を䌁業に垰属させるために、「職務発明芏皋」を定めお、埓業員にも呚知させおおく必芁がありたす。

ア 職務発明芏皋のポむントに぀いお

 職務発明芏皋の䞻なポむントは以䞋のずおりです。
・芏皋の目的
 職務発明は発明の奚励ず埓業員ぞの暩利を補償するこずで、技術の発達に寄䞎するこずを目的ずしおいたす。
・職務発明の定矩
・暩利の垰属
 職務発明は、䌚瀟がその暩利を承継するこず
・発明を行った堎合の届出矩務
 発明を行った埓業員は速やかにその旚を担圓郚眲もしくは所属長等に届出る必芁がありたす。
・職務発明の認定
 䌚瀟は、届出を受理した際には、担圓郚眲もしくは開発䌚議等で、圓該発明が職務発明か吊か、特蚱を出願するか吊かの認定を行う必芁がありたす。
・補償金の支払
 むで説明したす。

む 盞圓の利益の策定手続に぀いお

 「盞圓の利益」を「職務発明芏皋」内で定めたずしおも、埓業員からの蚎蚟リスクがれロになるものではありたせんが、「特蚱法第35条第6項の指針ガむドラむン」に沿っお策定するこずで、仮に蚎蚟等になったずしおも、䌚瀟で定めた「盞圓の利益」が尊重されるこずで、䞊堎審査䞊も盞圓皋床リスクを軜枛しおいるこずを説明できるず考えたす。しかしながら、以䞋の手続を履践しない堎合、「盞圓の利益」の察䟡が䞍合理ず刀断される可胜性がありたす。

り 盞圓の利益の察䟡に぀いお

「盞圓の利益」は、むンセンティブに応じお、金銭以倖の以䞋のような経枈的利益も認められたす。

  • 䜿甚者等負担による留孊の機䌚の付䞎
  • ストックオプションの付䞎
  • 金銭的凊遇の向䞊を䌎なう昇進又は昇栌
  • 法什及び就業芏則所定の日数、期間を超える有絊䌑暇の付䞎
  • 職務発明に係る特蚱暩に぀いおの専甚実斜暩の蚭定又は通垞実斜暩の蚱諟

 たた、「盞圓の利益」は段階に応じお行うケヌスが倚いようです。
・出願補償
発明を出願した時点で発明者に支払われる補償金。この時点では、暩利の䟡倀の刀断が難しく、少額か぀䞀定額䟋えば、数䞇円が倚いようです。
・登録補償
出願が登録された時点で発明者に支払われる補償金。登録芁件を具備した発明であったず評䟡できるこずから、出願補償金よりも高額なケヌスが倚いようです。しかしながら、ここも数䞇円皋床が倚いようです。
・実瞟補償
登録された発明が実斜された堎合に埓業員に支払われる補償金です。通垞、算定方法に぀いお、「職務発明芏皋」内で定めたす。たた、実瞟補償に係る「盞圓の利益」の額は、出願補償・登録補償ず異なり䞀埋で〇䞇円ず定めるのではなく、䟋えば、以䞋のように、等玚方匏やスラむド方匏で定めるのが䞀般的です。
 - 職務発明に係る補品の幎間売䞊高もしくは利益のうち、〇を発明者の寄䞎率ずしお、支払う
 - 職務発明に係る補品の幎間売䞊高〇䞇円○䞇円は、●もしくは●䞇円ず段階的に率や金額を定める
 - 仮想実斜料他瀟に暩利の実斜を蚱諟した堎合の実斜料に、埓業員の貢献床●を乗じる

 䌚瀟により、「盞圓の利益」の算出方法は異なりたすので、匁護士等の専門家にも盞談しながら定める必芁がありたす。

7知的財産暩の管理方法に぀いお

 ここでは、知的財産暩のうち、論点になるケヌスが倚い特蚱暩ず商暙暩に぀いお説明したす。

特蚱暩に぀いお

 ハむテク産業、情報通信産業等の䞊堎申請䌚瀟の䞊堎審査においおは、申請䌚瀟のビゞネスにより軜重はあるものの、暩利䟵害を行っおいないかどうか又はその䜓制及び暩利䟵害がされおいないかどうか及びその確認䜓制に぀いお、確認されるケヌスが倚いず思われたす。

ア 他瀟の特蚱を䟵害しおいないか

 他瀟の特蚱暩を䟵害しおいる堎合、今埌、自瀟の補品やサヌビスを販売できない可胜性や、販売できたずしおも、暩利䟵害に係る賠償金や高額なロむダリティが発生するこずで、今埌の業瞟に圱響を及がすこずが考えられたす。その堎合、圱響を確認できるたで、䞊堎審査が䞭断ずなるリスクがあるこずから、業皮やサヌビス内容によっおは、他瀟の特蚱を䟵害しおいないかどうかの確認は重芁な手続になるず考えられたす。
 これに関する察凊方法ずしお、新芏性や進歩性等の特城を有し、特蚱暩を取埗できる可胜性がある発明や技術に぀いおは、積極的に申請を行う方法が考えられたす。すなわち、申請する際に、既登録の特蚱がないかどうかを確認するこずで、他瀟の暩利を䟵害しおいないかどうかを確認できるためです。たた、事前に特蚱が登録されおいないかどうかを確認するこずで、無駄な劎力を省くこずができたす。自瀟で確認する方法ずしおは、特蚱庁の特蚱情報プラットフォヌム特蚱情報プラットフォヌムJ-PlatPat JPPで怜玢し、怜玢でヒットした堎合には、芁玄文等で確認する方法が考えられたす。特蚱を申請する際には、特蚱事務所を通しお、調査が行われたす。
 調査の結果、他瀟の暩利を䟵害しおいるかどうかの刀断に぀いおは、通垞、瀟内で怜蚎するこずは非垞に困難であるこずから、特蚱事務所に䟝頌するこずになるず考えたす。実際に、他瀟の特蚱を䟵害しおいる可胜性が高い堎合は、蚭蚈倉曎や先行技術調査他瀟の出願日以前に同様の先行技術を発芋できるかどうかが必芁になっおくるため、スタヌトアップや開発系の䌁業では、早めに調査を行うこずが望たれたす。

む 他瀟からの暩利䟵害がないか

 他瀟が自瀟の暩利を䟵害しおいる堎合、アのように賠償金やロむダリティ等の負担が発生しないこずから、積極的にこれを調査する必芁はないずも思われたす。しかしながら、他瀟からの暩利䟵害を受けおいる堎合、自瀟のサヌビスや補品の優䜍性、将来の成長の可胜性が倱われる可胜性があるこずから、定期的に調査を行う必芁があるず考えたす。たた、アず同様に、軜重はあるものの䞊堎審査の質問事項ずしおヒアリングされる可胜性がありたす。

 暩利䟵害されおいないかどうかは、以䞋の点に留意する必芁がありたす。
・自瀟の敎備䜓制ずしお、幎金玍付の管理を行い、暩利が消滅しないように留意する
・怜玢゚ンゞンで特蚱暩のキヌワヌド怜玢を行う。たた、可胜であれば、補品やサヌビスカタログをダりンロヌドし、暩利䟵害がないかどうかの圓たりを付ける
・暩利䟵害の可胜性がある堎合、該圓する補品を賌入したり、サヌビスを詊しに受けたりするなどしお、暩利䟵害がないかどうかをさらに調査するただし、BtoBなどでは、他瀟に知られおしたう可胜性があるため、留意が必芁です。

 䞊蚘の手続を行ったずしおも、実際に暩利䟵害しおいるかどうかは、高床な法埋的刀断も必芁ずなるため、䞊蚘ず䞊行しながら、匁護士や匁理士に調査を䟝頌するこずが必芁になるず考えたす。

商暙暩に぀いお

 商暙法では、指定商品指定圹務が同䞀又は類䌌する先行商暙が存圚する堎合、商暙登録を受けるこずができず、圓該商暙を䜿甚するこずができなくなるこずから、適切に出願管理等を行っおいく必芁がありたす。

ア 先行商暙調査の必芁性に぀いお

 䌁業が先行商暙調査を行わずに商暙を出願し、結果、先行商暙が存圚した堎合には、玄幎埌に圓該商暙を䜿甚できないこずが明らかになりたす特蚱庁の審査期間が玄幎のため。審査結果が出る前に圓該商暙を䜿甚し、商品販売もしくはサヌビス提䟛を行っおいる堎合には、商暙倉曎が必芁ずなり、その間の営業努力や広告宣䌝費等が無駄になるリスクがありたす。たた、商暙を取らずに事業を行った結果、先行商暙を有しおいる䌁業から、暩利䟵害を蚎えられるリスクがありたす。したがっお、サヌビスや販売開始前に、先行商暙の有無を調査し、商暙出願を行っおいく必芁があるず考えたす。

む 先行商暙の調査方法に぀いお

 先行商暙の調査は、通垞、特蚱庁が提䟛しおいるプラットフォヌム特蚱情報プラットフォヌムJ-PlatPat JPPにお行いたす。自瀟で調査を行うこずも可胜ですが、商暙の登録及び䜿甚可胜性に぀いお刀断するこずは困難であるこずから、䞀般的には、特蚱事務所等に調査を䟝頌するこずが望たしいず考えたす。

り 暩利䟵害の有無に぀いお

 商暙の登録が完了しおも、その埌、他瀟が暩利䟵害を行っおいないかどうかを確認しおいく必芁がありたす。怜玢゚ンゞンで同様のサヌビスで自瀟の商暙が䜿甚されおいないかどうかを確認するこずは、特蚱暩ず比范するず容易ず考えたす。しかしながら、商暙の類吊刀断や実際の暩利䟵害の可胜性を自瀟で刀断するこずは困難であるこずから、重芁な商暙に぀いお定期的な調査を行いながら、仮に暩利䟵害の可胜性のある他瀟商暙を発芋した堎合には、匁護士や特蚱事務所に盞談しながら、察応を進めるこずが必芁になるず考えたす。

各皮説明資料の蚘茉内容に぀いお

 Ⅰの郚「事業等のリスク」の蚘茉方法は、䞊述「䞊堎審査䞊の取扱い①䌁業内容、リスク情報等の開瀺の適切性」のずおりですが、ここでは、「各皮説明資料」の蚘茉方法に぀いお説明したす。
 各皮説明資料のうち、「事業の内容に぀いお蚱認可、免蚱及び登録等の状況に぀いお」の項目で、知的財産の内容に぀いお蚘茉を行う必芁がありたす。䟋えば、以䞋のような蚘茉方法ずなりたす。

 特蚱暩、実甚新案暩、意匠暩及び商暙暩に぀いおは、曎新の登録料を支払うこずで、暩利を維持するこずができたす。したがっお、知的財産暩の曎新のタむミングを管理し、台垳等を敎備する必芁がありたす。たた、曎新のタむミングに぀いおは、自瀟で管理するほか、特蚱事務所等に䟝頌しお管理しおもらうこずも倚いようです。「む 他瀟からの暩利䟵害がないか」でも蚘茉した通り、暩利䟵害を防止する芳点からも、適切に曎新手続を行っお居r九必芁がありたす。

終わりに

 知的財産暩を保有しお䞻芁な事業を行っおいる堎合、䞊堎審査䞊、他瀟ずの差別化を図り、成長可胜性を合理的に説明するこずが可胜であるず考えたす。䞀方で、知的財産暩の管理方法、暩利䟵害の有無に぀いおも、成長可胜性ず同様に審査䞊の重芁な論点になるず考えられたすので、匁護士や特蚱事務所ず連携を取りながら準備を進める必芁があるず考えたす。

暪手宏兞
倧阪府出身。北海道倧孊経枈孊郚卒業。
倪田昭和監査法人珟 EY新日本有限責任監査法人に入所し、玠材メヌカヌや茞送機噚メヌカヌ等、幅広く䞊堎䌚瀟の監査やIPOの監査等の業務に携わる。株匏䌚瀟東京蚌刞取匕所䞊堎郚及び東京蚌刞取匕所自䞻芏制法人䞊堎管理郚ぞ出向し、䞊堎関連業務に携わる。独立埌は、䞊堎䌚瀟や䞊堎準備䌚瀟の監査圹の就任などの支揎を行う。2019幎9月にみおぎ監査法人の蚭立時の代衚瀟員に就任

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